読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

海に消えた僕の彼女の話

その日は雲ひとつない晴天だった。日差しがあつい夏の日。

僕は中学時代の友人らと海に遊びに来ていた。その中に、彼女もいた。

 

今思えば、僕は少し浮かれすぎていたのかもしれない。彼女の心の声に、耳を傾ける余裕がなかったんだ。

 

「うぇぇええええい!」僕らは叫びながら海に入った。

 

彼女は冷たい潮に触れ、嬉しそうにしていた。海にたゆたう艶やかな髪に、僕は目を奪われていた。思わず、僕は彼女の手を握っていた。

 

「気持ちいいね」彼女は言った。

「うん! 最高!」

 

僕ははしゃいだ。友人らとひたすらはしゃいだ。彼女の手は僕の手を握っていたまま。

 

ふざけあって、浮き輪から落としあったり、奪い合ったりした。楽しかった。

 

彼女が本当に楽しんでいたのか、それはわからなかった。

ただ、握っていた彼女の手が冷たかったことを覚えている。

 

「うわぁっ」僕は浮き輪から落とされた。

その時、彼女の手がするりと抜けた。

 

やばい! 僕は声にならない声で叫んだ。

 

たゆたう艶やかな髪が遠ざかっていく。彼女の青い髪がぼやけて消えていく。

「さようなら」彼女は言った。そんな気がした

手で潮をかいて、彼女の手を握ろうとして、悟った。

別れの時だ。

 

さようなら。沖縄の修学旅行で買った800円のブレスレット

 

君との思い出を、僕は忘れない。